忘却前夜.

日々、感じたことを忘れてしまう前に書き置く場所。

36.5℃の火を抱えて。

私にとって、「雪」とはなんだろう。

 

冷たいもの、碧いもの、優しいもの、真っ新なもの。

そういった温度の低い、低体温の単語たちばかりが脳裏に浮かぶ。

 

 

だが、私はこの曲を聴いた瞬間「雪」に対して初めて熱度を孕んだ感情、イメージを抱いた。

 

 

 

BURNOUT SYNDROMES「銀世界」

 

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私の価値観を、凝り固まった脳味噌を氷の如く砕き散らしてくれた楽曲の名前だ。

冷たいはずなのに熱い、まるでドライアイスのようなこの楽曲は、私の心には静かに凛と揺らめく炎が燈ったようにいつまでも揺らめき続けている。

 

 

この場所は私だけの真っ新な銀世界。

きっと私にとっていつまでも揺らめき続けるであろうこの楽曲について、

私だけの足跡を刻むような気持ちで、真っ新なままの気持ちを書き残していこうと思う。

 

 

 

まずこの「銀世界」、曲調はなんとアップテンポながっつりバンドサウンド

曲名の発表があった日から、てっきり美しい刹那なバラード曲だと思い込んでいた私は

まずここでまんまと意表を突かれ、自分の凝り固まった固定概念を心から恥じた。

もはや漠然とした悔しさまで感じたよ。もっと尖れよ、私の感性よ。

 

 

 

まあいいんだ。まあいいからとりあえず全人類、

まずは歌詞を見てくれ。とにかく語らせてくれ。

 

白い息を吐き出して

踏み出す度 舞い散る雪煙

今 目の前に広がる 果てしなき一面の銀世界

 

冷えた空気は心地いい 己の輪郭が見えるようで

マフラーキツく巻きつけ 悴んだ手で枯れ木搔き分ける

 

冬の朝を思い出させるような、そんな美しく鮮明な情景描写から始まるこの楽曲。

「青春文學ロックバンド」の名を持つバーンアウト、その名前に恥じない描写力と表現力を乗っけから見せつけていくスタイル。胸の高鳴りが止まらない。さすが青春文學ロックバンド、、何度でも言いたい青春文學ロックバンド。

 

薄暗い洞の奥 ぬくぬくとした暗闇捨て 追え

吹雪の向こうで君を待っている

暁の光…

 

洞穴の奥の暗がり、ぬるま湯、自堕落。

何度抜け出そうとしても振り払えないぬくぬくとした暗闇に呑み込まれそうになっていた近頃の私にはこの歌詞はとても痛く響いた。

ただ、バーンアウトの凄いところはそこから抜け出せと無責任に鼓舞するだけじゃない。

その後に必ず溢れるほどの眩い光を示してくれるのだ。

 

「暁の光」

 

このたった3文字で、洞穴から這い出した私たちはその先に待っていた希望、栄光、未来の眩しさに目を細める。そんな情景をいとも簡単に瞼裏に浮かべさせてしまう。

なんという研ぎ澄まされた言葉のセンス。なんというかもう強い。すごく強い。(語彙力)

 

 

春風はいつも強く吹いてる 夢に沸き立つ 胸の奥から

命を燃やして君が通るとき 桜も梅も急いで咲く

白紙の楽譜の如き明日に

刻め足音 君の交響曲(シンフォニー)

 

熊谷さん自身も気に入っていると語っていた、「命を燃やして君が通るとき、桜も梅も急いで咲く」という一節。この一節で曲名通り銀世界だった真っ白な景色に、春風の香りと鮮やかな色が咲き誇っていく。

 

そう、「色」と「香り」。

バーンアウトの楽曲の魅力は、もはや聴覚だけじゃなく五感で楽しむことが出来ることだ。

限られた手段で受け手を未知の場所に誘ってくれる、その感覚はまさに文學小説の其れ。

 

 

いや、ていうか白紙の楽譜に雪景色を投影しているところ本当に好きすぎるなおい???

タイアップテーマの「音楽」と楽曲テーマの「雪景色」と「応援歌」感をここまでシンプルな言葉数でバシッとうまく融合させた歌詞他にあるかね?ないよね??ないね???(過激派)

  

 

( てかだいぶ書いたけどまだ1番ってまじ??魅力の密度すごない??? )

 

 

拗らせ限界オタクなのでもうこのまま2番への感情も書き残しちゃいます。

備忘録だから。これ所詮私しか読まない備忘録だからさ。いいよね。 

 

 

針葉樹林の迷宮 彷徨ってはまた元の場所に出る

堂々巡りの日々が 正解ルートを徐々に暴き出す

 

音すら凍る氷点下 叫べど救助は望めない

理想追い求む者はいつだって 凍えるほど孤独

 

 

夢追い人の孤独や無情さ、行き先の不明瞭さの輪郭を明確すぎるまでに言い表したこの一節。

リリースされてから恐らく何十回とこの曲を聞いてきたけど、何度聞いても体と心の真ん中にいる「理想甥求む者」を呼び起こし、奮い立たせてくれる。

あと熊谷さんの迷宮(ラビリンス)の美しい裏声がすんげえ好き。狂おしいほどに好き。

 

 

春風はいつも強く吹いてる

未来に竦む 背中を押す

火花を散らして 君が吠えるとき

穴熊たちも洞を這い出す

 

 

ここで!!!!!!!1Bの伏線を!!!!!!回収してきおった!!!!!!!!!!!

初聴きの時思わずリアル咆哮してしまったよ。穴熊かよ。這い出してやろうか。

 

1サビの色付きとはまた違った、煌々とした焔を纏ったような熱度と疾走感。

たった一曲の中でこんなにも沢山の色を魅せてくれるのか。なんて豊かな曲なんだ。

 

 

 

そして、この曲の中で私が一番、飛び抜けて、圧倒的、歓喜的なまでに好きで好きで堪らないのがオチサビのこの歌詞。この言葉。この23文字。

 

 

一花咲かせに この世に来た

36.5℃の火を抱えて

 

 

「ハッとする」という言葉は、この瞬間の為にあったのかと思うほどだった。

 

透明度の高い、凛とした蝋燭のように揺らめく言葉。

静かに、だけども確かな熱を持って陽炎のように揺らめくこの言葉。

 

初めて聞いたその日から、御守りのように私の心に燈り続けるこの言葉。

 

そうだ、私たちはこの世に一花咲かせてやるために生まれてきたんだ

人間として生まれてきたんだ。私として生まれてきたんだ。

 

この言葉を探していたんだ、待っていたんだと思えるほどに、

今の私を何よりも鼓舞してくれるこの23文字。

背筋を凛と立たせてくれるこの23文字。

 

私はこの言葉の温度を、生涯忘れることはないと思う。

吹雪に負けそうな時もこのフレーズを口元に宿せば、また前を向けるような気がする。

 

また音楽に救われてしまったな。

またバーンアウトに救われてしまったな。

 

 

雪解けは待っていたって来ない

君は春風 未知 拓いてけ

 

白い息を吐き出して

踏み出す度 煌めく 雪飛沫

今日も君を呼んでいる 轍なき一面の銀世界

 

 

 

私は、春風になれるだろうか。

私が踏み出す一歩に、雪飛沫は美しく煌めいてくれるだろうか。

 

真っ新で未知な明日、未来に踏み出せるだろうか。

 

迷うことだらけだ、不明瞭なことだらけだ。

果てしない白紙はいつまでも怖い。

 

だけど、それと同時にまだ真っ白な私の明日はこんなにも真っ新で輝かしいこと。

真っ白な未知の明日だからこそ、私はどんな足跡も刻めるんだということ。

この「銀世界」という楽曲が教えてくれた。

 

 

 

きっと大丈夫だ。春風は吹く。花は咲く。

36.5℃。

私のためだけに揺らめく火と、BURNOUT SYNDROMESの音楽があれば。きっと。